百年の大計

皆さん、こんにちは!

まぁ、暑い日が続きますね。 今、私は東京にいます。 先週、先々週と東京に戻れませんでしたので、久しぶりの東京ですが、こちらもホント暑いです。

今日から盆休みという方も多いと思いまが、熱中症には十二分に注意をしてお過ごし下さい。

さて、先般、講演会で興味深い話を聞きましたので、今日はそれをご紹介したいと思います。

人は、それぞれ思い入れや固定観念というものを持っています。

しかし、時として、それが自身の行動や成長、決断の妨げになっている場合があります。

先般の講演は、 「長寿企業に見る共通点は?」 というものです。

データによると、日本において、100年以上の長寿企業は20,304社、200年以上は1,241社、500年以上になると34社だそうです。

長寿企業に見る共通点は、変わらないものと変わるものが明確にあるということだそうです。

では、変わらないものとは何か?

それは、「企業理念」、「のれん」という、いわゆるその会社の根幹をなすものだけです。

変わるものとは何か?

それは、「事業内容」、「販売方法」、「顧客」、「業務方法」、「仕入先」などだそうです。

言い換えれば、事業、販売方法、顧客など、時代の変革に合わせた形で変えて行かなければ継続はないということを意味しているわけです。

このあたりは、日本人の気質からして、理解し難いところかもしれません。

特に、仕事においては、一つの事をやり通すことが「この道、一筋」という様に、美徳だと考えるところがあります。

その昔、私が33か34歳頃、今から15年位前、この事については当時社長であった親父と、日常茶飯事で激しい議論をしたものです。

「社長、今の間に新しい事業、新しい顧客を創造することに力を注いだ方がいいと思う。」 と私が言うと、決まって親父は 「お前は色々なことを考え過ぎや、俺はこの道一筋や」と。 そこで私も決まって、 「たまたま、時代の後押しがあって、めしを食べさせて貰っただけやろ、今のままやったら、5年10年で社員も家族も守られへん様になる」と。

ここまで行くとその後は、互いの想いがあり、熱くなり、喧嘩になります。

今思うと懐かしい感じがします。

親父は懐の深い人でしたので、何回か上述のことを繰り返す内に、想いが強いと感じくれたのか?了承してくれました。

そして、1995年から新規事業の創造を掲げ、日々朝礼で社員と共に唱和し、推進して行きました。

しばらくして私の中で、この顧客は次のステップにおいて、コア顧客になる可能性を秘めているという、お客様と出会うことが出来ました。

しかし、その新しい顧客は、当時弊社のNo.2のお客様の売り先、得意先だったのです。

ただ新しい顧客は、規模も大きいので実質的に、従来のお客様にご迷惑を掛けることは殆ど無いという状況です。

親父(社長)、担当者(現弊社営業部長)の出した結論は、従来のお客様を通じて、新しい顧客に販売をするということでした。

私は烈火の如く、猛反対をしました。

会社が、その1年でやめるというなら、反対はしませんし、同等の新しい顧客が直ぐ生み出せるというなら別ですが、これからの時代の流れ、また時間軸を長く会社の継続成長を考えた時、私には従来の顧客をとるという選択肢は、100%あり得なかったのです。

さすがに、こればかりは、なかなか親父は首を縦に振ってくれません。

これもまた、当然です。

場合によっては、従来のNo.2の顧客を失うことになり、売上も一時的には大幅に減少させることに繋がります。

そのあたりは私も十分理解していますし、その覚悟は当然あります。

結論が出ません。 業を煮やした私は、最後の賭けに出ました。 私はこの様に親父に言いました。

「社長も、社員、家族のことを考え思っている様に、私もまた、社員、家族のことを考え思っている。ただ、決定的に違うのは、時間軸の長さです。 今の社員、家族も、現在においても、将来においても、幸せになる権利を持っています。 その環境をどの様に作って行くか?がトップがやらなければならない最優先の仕事やと私は考えています。 顧客は当然、大切であり、感謝しかありません。 しかし、どうしても、決断をしなければならないのなら、私は何の躊躇もなく、社員、家族が現在、将来幸せになれるであろう環境を選択します。 どうしても、社長が従来顧客を選択するのであれば、私は会社を辞めます。 何故なら、それでは弊社に明日はないと考えるからです。 私にも最低限守らなければならない家族がいるので…」

この様な話を親父にしました。

親父は一言「わかった」と。

それから随分年月が経ちましたが、その時の新しい顧客が、今現在においてはコアのお客様となり、そのお陰で、この様な時代にあっても比較的順調な推移をしていて、何十人の方々の生活を安堵してくれています。

また、取り引き当初から、数年経過した後、販売方法を変更して苦労はしましたが、これも幸いして売上、利益とも計算が出来る状態になっています。

これが、形付いたので、当時の担当者の給料ベースを大幅に引き上げてあげることも出来ました。

当時のNo.2のお客様はというと、現在売上にして当時の1割以下です。

もはや、その利益から1人の生活もまかなうことは出来ません。

先般の講演を聞いて、日頃社員に話していることが、確信に変わりました。

私達が、守らなくてはならないものは、「経営理念」と「社是」だけ。

他はなんでも変えられるんだ。

また、変えて行かなければならないんだと、よく話をします。

「顧客」、「仕入先」、「販売方法」、「業務方法」、「生産方法」、「会計方法」、「管理方法」などなど。

私達でいう社是は、先代社長が構築した創業精神であり、経営理念は私が構築した、追い続けて行かなくてはならない方向であり、永遠の目標です。

この2つが守られなければ、コシオカ産業ではなくなるのです。

逆にいうと、他がどの様に変わろうが、経営理念と社是を守り続けて行く限り、それは、コシオカ産業なのです。

これは、従来のお客様を蔑ろにするという意味ではありません。 当然大事なお客様です。

しかし、そのお客様様も、その上には市場があり、更にその上には、時代があり、これら天の声に背いては成り立ちません。

私達は、謙虚に天の声に耳を傾け、日々10%、20%でもいいから、次の時代、成長に繋がる仕事をやらなければならないんだろうと考えるのです。

これからも、親父が創った社是、創業精神と経営理念を守り、ブレず、その他はアグレッシブに変化させながら、少しでも、社員の生活の向上が実現出来る環境を築き続けたいと思います。