【第4弾】顧客ロイヤルティ

顧客ロイヤルティとは、
顧客があるブランドや商品、またはサービスに対して感じる信頼や愛着の事です。

ロイヤルティとは直訳すると、忠誠心という意味ですが、日本語では若干違和感があると思いますので、信頼や愛着‥‥と認識されれば良いのではないかと思います。


先般のコラムでも記述しましたが、この概念は「顧客満足」という考え方から深堀りした概念です。
顧客満足度調査が普及するにつれ、現代消費においては「顧客満足度が高い顧客=商品を頻繁に購入する顧客」とはならない事が分かってきたのです。
その為、長期的に信頼や愛着を持ってくれている状態になっているかを判断する「顧客ロイヤルティ」という概念が生まれたのです。

ある調査によりますと、ロイヤルティが高い顧客は低い顧客に比べて以下のような特徴が見られました。

《あるアパレルブランド》
●年間平均リピート回数
 ロイヤルティが高い人‥‥‥16.8回
 ロイヤルティが低い人‥‥‥  8.9回

●年間平均購入金額
 ロイヤルティが高い人‥‥‥28,446円
 ロイヤルティが低い人‥‥‥  9,095円

●口コミによる拡散
 ロイヤルティが高い人‥‥‥85%
 ロイヤルティが低い人‥‥‥16%

上記のデータからしますと、ロイヤルティを高める事でリピート率は1.9倍になり、購入金額は1.3倍になります。 
また、その企業や商品・サービスに不満を持った顧客はネガティヴな評判を広めてしまう一方、ロイヤルティの高い顧客は積極的にネットで拡散してくれたり、周囲に推奨してくれたりします。
ロイヤルティを高めて行く事は、このような口コミ・ネットでの拡散という行動にも繋がり、新規顧客の獲得においても非常に大きな役割を果たすと言えますし、売れない時代にありましては有効な手段となります。

私達の会社が提案する企画ノベルティグッズにおきましてもこのような事がありました。

ある大手寿司チェーン様からのご依頼でノベルティグッズを手掛ける事になりました。
その結果、使う楽しみ、面白味などからネットで拡散され話題となり、予想を遥かに上回るお客様、新規顧客が多数来店されました。
クライアント様に大変お喜び頂けたのも去る事ながら、新たなお客様獲得‥‥
リピート率改善に一役を担えたのではないか?と考えています。
企画ノベルティグッズをお考えの折は是非一度お声を掛けて頂ければ幸いです。
http://www.koshioka.co.jp/case/sushi

さて話は戻りますが、ロイヤルティを高める上で重要なポイントが2つあります。

ロイヤルティを数値化する
お客様の声‥‥というものは比較的、抽象的なものが多いものです。
それを数値化する事で正確なお客様の声を把握する事が出来ます。
また、具体的な打ち手にも繋がり、改善した結果も数値で認識出来ますので明確です。それにはまず、シンプルな設問、クローズ質問など、お客様に先入観を与えず、明快な回答が頂けるような調査方法により、出来る限りノイズを最小化して、多くのお客様の声を集めます。
そして、それを数値化する訳ですが、指標として代表的なものにNSP(ネットプロモータースコア)という指標があります。
企業が調査した設問をNSPの計算方法に当てはめ顧客ロイヤルティを数値化するものです。
例えば、
「あなたは○○○の商品(サービス・企業)を友人に勧めたいと思いましたか?」‥‥‥‥
このような質問があったとして、それを0~10点で評価をしてもらいます。
その中で0~6点までを付けた人を「批判者」‥‥7・8点を「中立者」‥‥9・10点を「推奨者」と分類します。
NSP数値は、『推奨者の割合(仮に40%)ー批判者の割合(20%)=NSPスコア(20%)』となります。

つまり、推奨者が増えるほど数値が高くなり、批判者が減るほど数値が高くなるように設計されています。

NSPはアップルやグーグル、P&Gなどが導入しており、近年日本においても「売れない時代の戦略ツール」として導入が進んでいます。
このように数値化する事で「見える化」が図られ、的確な現状を把握でき、具体的な改善策を明確に立てる事が出来ます。

② 収益指標との整合性を図りながら数値分析を行う
ロイヤルティ向上は収益向上の手段です。
言うまでもなく、全世界全企業の究極の目的はただ1つ‥‥‥‥営利(営業利益)目的です。
昨今、先進国や日本においては経済成長が鈍化しています。
その時代においても営利を継続拡大して行かなくてはならない訳ですが、その手段として自分達の企業に信頼と愛着を持って頂ける顧客を創造して行きましょう‥‥‥‥これがロイヤルティ向上です。
しかし、幾ら信頼と愛着を持って頂けるお客様であっても、収益性が落ちている‥‥‥では意味がありません。
これは旧来のお客様、旧来事業などに見受けられる傾向です。
ロイヤルティと収益性‥‥‥私達企業の目的は営利(収益性)を高める‥‥これに尽きますので、その兼ね合いを把握しておかなければなりません。

これにはマトリックスを使用します。

縦軸に顧客収益性‥‥横軸にロイヤルティ向上を取ります。
そうしますと、6つに区分する事が出来き、其々の代表的な打ち手は以下の通りです。

① エンジェル
  収益性が高くロイヤルティも高い
  〔打ち手〕アンバサダープログラム
② エンジェル候補
  収益性は高いがロイヤルティは中ぐらい
  〔打ち手〕イベント・キャンペーン
③ 抑留者
  収益性は高いがロイヤルティは低い
  〔打ち手〕カスタマーサポート
④ 宣教師
  ロイヤルティは高いが収益性は低い
  〔打ち手〕フラッシュマーケティング
⑤ 不可知論者
  ロイヤルティは中ぐらいだが収益性は低い
⑥ 反逆者
  ロイヤルティも低く収益性も低い
   〔打ち手〕クレーム対策オペレーション

以上のように区分されます。

当然ながら①は顧客ロイヤルティも高く収益性も高いので、拡散や推奨をして頂ける最重要顧客として認識をして全社サポート体制が必要となります。
そして企業として、営業として時間を費やさなければならない顧客は②と③です。
②と③のお客様に向けて上記の打ち手などに時間を掛けロイヤルティ向上の活動をしなくてはならない訳です。
一般的に営業マンは④に行きたがる傾向があります。いわゆる行きやすいお客様に行ってしまうという事です。
この④のお客様は大事なお客様には変わりはありませんが、限りがある1日24時間の中では、企業としてフラッシュマーケティングとして対応をしなければなりません。
簡単に言いますと、僅かな時間で効率良く販売を行う‥‥‥‥高いロイヤルティを損なう事なく、短い時間で効率良くサポートをする‥‥‥そして時間の多くは②や③のお客様のロイヤルティ向上に費やす‥‥‥これが重要です。

立ち上げの事業の場合は顧客数が圧倒的に少ない訳ですので、空いた時間を新規開拓に費やす‥‥‥という事になります。
そして、ある一定の顧客が確保出来れば、上記のマトリックスに振り分け、どのお客様にどんな対応をしなければならないのか?を認識をし、顧客ロイヤルティを高めて行く事になるのです。「顧客ロイヤルティの向上」「顧客のファン化」など様々な言い方はありますが、根幹は一緒で、成長が鈍った先進国において、営利を追求する時、お客様の信頼や愛着を永続的に勝ち取り、それにより収益性の向上に繋げよう‥‥‥そんなロイヤルティ向上戦略が現代の手法として有効だと言う事です。