忘れられない一言~屈辱編~

皆さん、こんにちは!

今週も暑かったですね。

昨日、東京は35度を超えていましたが、今日は雨模様で天気予報では、暑さも和らいでくるそうです。

今暫くの我慢といったところでしょうか?

盆休みも終わり、仕事が始まっている方々も多いと思いますが、後半戦のスタートです。

気を引き締めて頑張って行きましょう!

さて、今日は「忘れられない一言」ということで話しを進めたいと思います。

人には、それぞれ記憶に残る、嬉しい一言や屈辱的な一言などがあるものだと思います。

私はどちらかというと、物事をポジティブに受け止める方で、屈辱的な一言は意外とないのですが、唯一忘れることの出来ない、怒りを覚える言葉が、仕事で1度あります。

それは、平成18年1月20日。

事業変換の折、売上、利益の不安定から、返済計画変更の相談で、メインバンクの担当者を訪ねた時のことです。

支社長室に通され、担当者と資金計画について、色々と相談をしていました。

前年の11月にも一度、融資をして貰ったばかりでしたので、交渉が難航し、担当者の判断では、難しいとのことで、支社長と相談をしてきますと席を立ちました。

暫く待たされ、支社長が部屋へ入って来るや否なや、半ば怒った感じで、 「何なんですか!社長、折角の金曜なのに!!」

この言葉が私にとって、忘れることの出来ない一言です。

「折角の金曜なのに」ってどういうことや。 いくら、メガバンクの支社長と云えども、この程度の人物かぁ。 自分さえよければ、それでええという感じやなぁ。 こっちは、人生も財産も全てを賭けて仕事をしてるというのに。 今日の交渉は大変なことになるなぁ。 しかし、こちらの思う通りに必ずしてもらわなければ、明日はない。 中途半端に妥協は絶対出来ない。

これが、当時の私の心の声です。

そこから、支社長との押し問答が始まりました。

支社長 「何なんですか!11月に融資したところじゃないですか?どんな資金計画をしているんですか!!」 「もっと、財務3表を勉強しなさいよ!!」

当時弊社は経理が主体で、起こったことに関する記帳は、抜群でしたが、管理会計や財務という概念がなく、やかましく言ってはいましたが、資金計画表は一応あるというレベルで、当時の会計事務所も同様の考えでした。

そこで、私自身ノートに時系列で、必要売上、利益、回収、決済などをこと細かく書き、それを元に全体を進めていましたので、私の中では、11月に融資、1月に返済計画の変更は折り込み済みでした。

ある程度、経理学院にも通っていましたし、勉強もしていましたので、理解してはいましたが、支社長の言葉をきっかけに財務3表の本を買い、その後、再び徹底的に勉強しましたが…

現在では、TKC加盟の会計事務所に変更をして、また、弊社の経理においても、概念がようやく変わって来、スキルアップもされて来たので、問題はなくなりました。

私 「資金計画はあります。その中で、売上・利益が従来事業の性質上、不確定な部分が多く、新事業は売上は伸びているものの、利益面において、在庫、人件費、販売運賃などがかさみ利益が圧縮されているのが現状で、このままでは、返済計画に問題が生じる可能性があるから相談に来たのです。急激に売上・利益が増加されれば、問題は少なくなりますが……」

支社長 「従来事業と新事業の売上・利益推移の裏付け資料はありますか?」

私 「これが、その裏付け資料です。従来事業は売上・利益とも昨年対比の10%ダウンで見ています。新事業については、まだ昨年のデータがありませんので、ここ数ヶ月の売上・利益から今後の推移を出してあります。」

支社長 「追加融資では駄目なんですか?」

私 「従来事業の売上の目減りと新事業の売上の伸びから考えると、新事業はこれからのことで伸びるとはわかっていても、いつにどれくらい伸びるのか?は不確定で、確実なことは、従来事業が目減りする方です。ですから、そちらを主眼にして返済計画を進めたいので、追加融資より返済計画の変更をお願いしたいのです。」

支社長 「バブル崩壊後、ようやく立ち直り、現在東大阪の中小企業は業績が良くなってきてるのに、社長とこだけですよ!!」

私 「支社長、今は大手企業を中心に、各企業がスリム化を図って利益が出る体質にしてるだけで、これは一過性のものです。ここから、売上・利益を上げて行く仕組みが出来た企業だけが生き残り、そうでない企業はじり貧になって行くと私は考えています。その様な時代なんです。私達は幸か?不幸か?創業事業の性質から、早くに対処しなければならないだけで、必ず遅かれ早かれ、東大阪の中小企業が疲弊する時が来ます。」

その後、リーマンショックに端を発し、12,000社あると云われた東大阪の中小企業が6,000社になってしまいますが…

支社長 「社長は甘過ぎますよ。そんなことしていたら、会社が倒産するじゃないですか!!他と一緒で社員を半分にしたらいいじゃないですか?そして利益を出る体質にして、それで返済して下さいよ!!」

私 「私の給料をゼロにしてでも、そんなことは出来ない!!彼らにも生活があります。そして、次の会社の成長を担うのも彼らです。コシオカ産業は今年で終わるわけではありません!!」

支社長 「社長の給料をゼロに出来るんですか?」

私 「そうすれば、私のいう通りにしてもらえるんですか?」

支社長 「………」 「社長の給料をベースに連帯保証枠を設定してあるので……」

「わかりました。返済計画の変更をしましょう。但し、今後問題が生じた場合は、担保物件の家屋を処分してもらうことになりますよ。」

この辺りで、鞘を納めんと仕方ないか、と思い話をまとめたのです。

最後に支社長曰く 「頼みますよ社長、もし社長とこに何かあったら、私がクビになるじゃないですか」

耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、今、私に出来る抵抗として、「支社長もクビが掛かっているかもわかりませんが、私は本物の首が掛かってますので……」と言って銀行をあとにしたのです。

今、会社が成長過程に乗りつつあるので、言えることではありますが、この言葉、経験は有難く、貴重だったと思っています。

当然、それにより勉強もし、より以上に発奮出来る材料になったからです。

そして何よりも、覚悟が定まったからです。

人は、時に不安になることが、しばしばあります。

これは、その経験から中途半端や中ぶらりんだから、その様に感じてしまうのだろうと思うのです。

一つの方法として、その時は、一度ド~ンと下まで落ちて、逃げ道を無くし、地に足をつけたら、心が落ち着き、覚悟が定まり、もうあとはやるしかない!ということになるんだろうと思います。

何かのきっかけで、覚悟が定まれば、道は見えると思うのです。

今は、この支社長に感謝です。