管理職パートナーと管理職作業者

皆さん、こんにちは!

ここ暫くは少し暖かく、幾分かは過ごしやすい感じがします。

まぁ〜それでも10℃位ですので、寒い事は寒い訳ですが‥‥。

寒いと思って備えをしておくと、少し気温が上がっただけで、そう感じるものですね。

仕事も‥その場その場の対応では駄目ですね。事前の備えをしっかりとしておく事が大過なく進む事に繋がります。

何事においても一緒ですね。

さて、今週も「何故か結果の出ない管理職の7つの間違い」から、第5弾をお届けします。

今日のテーマは、「知識を増やせば提案力がつく」、この様に考えるのは間違いである、と云う事について話しを進めます。

引き出しと云う点において知識は無いよりあった方がいいに決まっています。

ただそれだけでは提案力は身に付かないと筆者は言われています。

ここからは、筆者の言葉を引用させて頂きます。

ある会社の研修会。

テーマは「社長に対して、如何に意見を提案出来る管理職になるか?」。

研修の事前ヒアリングで、ある女性社員が「うちでは新しい事を発案するのは、いつも社長だけなのです」と。

これまで何十社も同じ様な事を聞かされて来た。

何故?下から上がって来ないのだろう?

意欲の違いなのか?

能力の違いなのか?

単なる権限や情報量の違いなのか?

管理職の役割は多岐に渡る。

経営層の一員として大きな経営課題に取り組む、社内外のネットワーク環境の標準値を上げる、会社の代表として交渉するなど。

しかし、最も重要と考える1つは、経営層への提案・意見具申である。

そんな事を考えながら研修に臨んだ。社長の挨拶が終わり、社長退室後、研修会がスタート。

自由に語り合う雰囲気を邪魔してはいけないと云う配慮からだ。

社長は人の気持ちが良く分かった人である。

当の受講者はと云うと、社長がいる時といない時で態度は豹変する。

これは大変だ‥‥‥。

事前ヒアリングで女性社員が言っていた事が頭に浮かぶ‥。

そして、いよいよ本題へ。

「何故?社長に提案出来ないのでしょうか?」と筆者。

何故?何故?何故?を繰り返し、彼らが辿り着いた結論は、

「経営方針を勉強していない」

「市場や業界情報について勉強していない」

「財務について勉強していない」‥‥。

全てにおいて「勉強していないから」と云う語尾が付く。

私は今まで、こういう管理職を数え切れない程見て来た。

だからと言って、その後勉強をして飛躍的に成長した人を未だかつて一度も見た事が無い。

これで、議論が終わってしまってはいけないと思い、更に深く掘り下げる様に促した。

私、「勉強して知識を増やせば、社長に提案する力が付くのですか?」

ある管理職「社長はとても理詰めの人ですから、まずは知識と情報を蓄えなければいけないと思います」

「では、何故?分かっていながら勉強をして来なかったのですか?」

「忙しくて時間が取れませんでした」

「では、これから時間が取れるのですか?」

要は、勉強しないのはその気が無いからだ。

その気があれば時間などはどうにでもやり繰りが付く。

いわば、その場凌ぎの表面的な言葉のキャッチボールをしているだけだ。

どこの会社でもよく見かける光景である。

これでは何も変わらない。

誰もが自身の興味があるモノには無理をしてでも時間を作る。

自ら興味を持ち、自ら提案し、理解してもらおうと云う覚悟と意欲がないからだ。

そして、それを言って自身が先頭に立ち、新たな負荷が生まれる事が嫌なだけだ。

「皆さんは管理職ですよね。管理職と云うのは、組織や人を通じて成果を上げる人です。周りを巻き込み、周りの力を借りて課題を解決するのが、管理職の役割です。従って、課題を自ら形成し、先頭に立って行動をしなければならないのです。」

「そうは仰いますが、うちの社長はすごく細かいのです。何か意見を提案しても、ちょっとでも検討不足の点があれば、容赦なくそこを突いて来るのです」

ある管理職が出来ない言い訳をする。

当たり前である。社長がどんぶり勘定では経営なんて出来っこないし、社員を守れない。

「提案と云うモノはそう云うモノです。お客様も同様ではないですか?1回の提案で決定する事は寧ろ、珍しい事ではないでしょうか?何回も提案しながら細部まで詰める事を繰り返し、社長と考えを共有して行く。それが、提案であり、管理職の勤めではないですか。」

私は話を続けた。

「皆さんが社長に意見を提案できない理由は、勉強不足でも知識不足でもありません。自らが率先垂範して、会社や組織の為に必要な旗を立て、それを実行すると云う覚悟が足りないからです。言い出した人が実行の責任を負うと云うのは当たり前の事です。それを損得勘定や負荷した仕事と捉えている様では管理職としての仕事は全う出来ていません。その様な管理職では、目先の業務をしているだけで、部下の方々に結果を出して上げられず、部下からの真の信頼は得られる事はないのです。自らが旗を立て、率先垂範する事で、新たな課題にチャレンジする機会を手に入れる事が出来る。その過程で自分も成長出来る。組織の発展にも貢献出来る。そう云うプラス思考を持ち、課題に挑む管理職に育って欲しいと願い、社長はこの研修を開催したのではないでしょうか?社長と云うモノは孤独な職業なのです。管理職の皆さん!社長は、愚痴も言わず、先代からこの苦難な時代に経営を引き継ぎ、社員とその家族の為に必死で、本気で頑張っているじゃありませんか。皆さんもそれは感じておられるでしょう。社長の作業者になるのではなく、良きパートナーになって社長を‥組織を‥そして会社を支えて下さいよ。これは、何も社内だけではありません。お客様とも作業者ではなくパートナーシップを構築する事が信頼に結びつくのです。組織の為に‥会社の為に‥率先して損を出来る人こそ、皆さんの会社には必要なのではないでしょうか?」

長くなり、申し訳ありませんが、ここまで筆者の言葉を引用させて頂きました。

私もこれを読んで25年位前(当時30歳位)の事を懐かしく思い出していました。

それまでの私はと云うと、役職は付いていませんでしたが、全く上述に登場する管理職の方々と同じでした。

寧ろ、仕事に向き合う姿勢はそれ以下だったと思います。

「この仕事、邪魔くさいな」

「何で俺がこんなんせなアカンねん」

「早よ、仕事、終われへんかな」

「五月蝿いなぁ、社長は」

こんな事ばっかり考えて仕事をしていた様に思います。

正に、作業者以下です。

しかし、ある事をきっかけとして、仕事と云うモノに真摯に向き合える様になってからは、逆に自ら次々に新しい課題を見つけ、時間、給与関係なく、社員や組織の為に、それを成し得る事を最大の目的として邁進して来た様に思います。

自身の事とは云え、人とはホントに不思議な生き物です。考える、感じる力があるから人は変われるのですね。他の動物とは決定的に違う所です。

私の様にどうしようも無い考えの人間が劇的に変われたのですから、何かをきっかけに人は変われると確信しています。

そして、私の経験から少しでも豊かな仕事人生を過ごして欲しいとの思いから、何かヒントになればと考え、このブログを続けていると云うのが本音の所です。

上述の社長への提案と云う事では、私自身、仕事に目覚めてからは数限りない位提案し、先代社長と喧々諤々と議論をしたものです。

その中から代表的な例を1つ上げると、金属部品の製造メーカーであった当時、時代の流れと共に、主力生産商品が陰りを見せ、新たな主力生産商品を作らなければならないと云う、また新たな課題が私の中に渦巻き始めました。

しかし、それを先代に提言しても、中々いい返事がもらえません。アカン、アカンの1点バリです。何がアカンのか?その理由すら定かではありません。

まだ、理詰めで話をする上述の社長の方が、どうしたら良いのかを紐解く事が出来ますので楽です。それでもいずれ現主力生産商品は無くなる事は明らかだったので、組織‥会社の存続‥社員の為に、私も引き下がる訳には行きません。その後も諦めず繰り返し繰り返し提案書を提出し、ようやく先代のOKが出たのは、最初の提案から2年が過ぎていました。あの頃はガムシャラだった事が思い出されます。

そんな事を振り返ると、やはり著者が言われる様に、「知識を増やせば提案力がつく」と云う事だけでは無いのが分かります。

当時の私の思考回路で云うと、

1.まずお客様に安価で商品をお届けしたい

2.その中で当社にも利を生み継続商品としなければならない

こんな思いで先代に提言をし続けていた様に思います。そこには、自身の利や仕事が増える等と云う概念は一切ありませんでした。

提案が通った後、苦難の連続でしたが、1年と云う時間を費やし、成し得る事が出来ました。

その結果、お客様には、通常価格の20%ダウンの価格で提供出来、当社も内製により、加工賃が社内に落ち、キャッシュアウトしなくても良くなり、それを加味すると利益率は50%、それがバブルが弾けるまで主力生産商品となり、次への礎となりました。

お客様にも喜んで頂き、当社にも利益を生み、社員の人達の給与を上げてあげられ、社員旅行は当時珍しいハワイ旅行、加えて、これも当時珍しかったのですが生産性が向上したので週休2日制も実現できました。

お客様も喜び、会社も喜び、社員も喜ぶ‥

私はと云うと、その仕事を成し遂げた充実感、そして皆をウインウインにし、皆が喜ぶ姿を見る嬉しさを感じていました。これが本当の仕事だと確信し、少しは成長した自分に出会えたと云う所です。

この様な経験から最終的に私が考える所、社長への提案に必要なモノは、知識などと云う小手先の事が先に来るのでは無く、まして自身の利や打算が先に来るのでは無く、まずはお客様を思う本気度‥、組織や会社を思う本気度‥部下や仲間を思う本気度‥これだけあれば充分だと考えます。それが本気なら、足らずは後からでも勉強し、自分の知識となるはずです。この様な思考回路で仕事と真摯に向き合った方が長い長い仕事時間を有意義に過ごせると思うのです。

最後に、再び著者の言葉を引用させて頂きます。

研修後、ある受講者から次の様なレポートを頂き感激をしたそうです。

「社長の事は、普段から細かな指摘ばかりする五月蝿い存在だと思っていました。これまで社長が歩いて来ると顔を出来るだけ合わせない様にし、社長に呼ばれると緊張の連続でした。今思うと社長が居る時は、真剣に向き合っている振りをし、居なくなると手を抜いていた様に思います。社長は私の3つ年上、ほぼ同世代です。真剣に業績数字を読み込み、叱咤激励をする社長の姿を見て、この人は必死なのだと思う様になりました。ようやく、先生の研修を受け、仕事の本質、自分がしなければならない役割が分かった気がします。これからは、受け身ではなく、積極的に社長と向き合い、仕事と向き合い、自ら率先垂範を心掛け、社長を支えるパートナーとなれる様努力します」と。

現代は昔と違い、社長だけで会社が成り立つ、または成長すると云う事はもはや困難です。1人でも2人でも経営視点に立てる、そして率先垂範して課題を解決出来る、そんな管理職パートナーがどの企業にも必要だと思いますし、その管理職パートナーの数が会社の成長の浮沈を握ると云っても過言はありません。それだけやり甲斐のある職種と捉え、皆さん、大局的な見地に立って、どんどん社長に臆せず提言して行きましょう!